スマホ決済、電子マネー、仮想通貨・・・今や現金以外の決済手段やお金の価値がたくさんあって馴染みがない方には分かりづらいですよね。
特にSuicaやPASMO、楽天Edyのような電子マネーと仮想通貨がどう違うのか分からないという方も多いですよね。
- 電子マネーは価値を企業が担保している
- そのため常に電子マネーの1円は日本円の1円という価値をキープしている(価値が変動しない)
- 仮想通貨の価格は米ドルやユーロと同じく市場価格で変動する
- 仮想通貨は払い戻し(日本円への換金)ができる
- 仮想通貨は個人間送金ができる
目次
そもそも仮想通貨と電子マネーはどう違うの?
今や多くの方が使っている電子マネー、特に日常的に電車やバスに乗る方は非常に高い確率で交通系電子マネーを利用していると思います。
- Suica
- PASMO
首都圏以外のご当地交通系電子マネーもあるのでそれを含めると「何かしらは持ってる/使っている」という方は多いですよね。
- nanaco
- WAON
- 楽天Edy
交通系電子マネーとシェアを争うのがこれらの電子マネー。
最近ではクレジットカードに標準搭載されていることも多いので、やはり何かしらの電子マネーが使える状態にある方は多いと思います。
さて、これらの電子マネーと仮想通貨は何か違いがあるのか?
答えは全くの別物です、まずは電子マネーの特徴をおさらいしてから改めて仮想通貨への造詣を深めましょう!
電子マネーの1円=日本円の1円
最大の違いは電子マネーの1円=日本円の1円と価値が固定されていることです。
電子マネーの多くはクレジットカードやATM、お店のレジや券売機等でチャージをして利用することができます。
仮に1,000円チャージしたら、電子マネーとして1,000円が反映されますよね。
このチャージした電子マネーの1,000円は使わなかったり長期間利用せずに失効してしまわない限りいつでも1,000円です。
「何言ってるんだ、当たり前だろ」と思われるかも知れませんが、ここが仮想通貨との大きな違いです。
電子マネーは為替のように価格変動しない
では具体的にどういうことか、つまり電子マネーは米ドルと円、ユーロと円のような為替と違い価格が変動しません。
例えばドル円レートが$1=100円だとして、これが80円になったら円高ですし120円になったら円安。
このように市場によって円の価値というのは対他通貨で変動します。
例えばアメリカに旅行に行く時、円高(たった80円で$1買える!)だと嬉しいし円安($1に120円も払わなきゃいけない)だと高いなと思いますよね。
為替変動を受けるとこのように得することもあれば損することもあり、例えば政治・経済・治安等様々な要因で変動します。
電子マネーは先述したようにいつでも1円=1円です、リーマンショックが起ころうが大規模災害が起ころうが戦争が始まろうが価値は変わりません。
皆さんもこういう性質のものを知っているはずです。
そう、商品券や図書カード、QUOカードと本質的に全く同じで、電子マネーはただそれが電子になっただけなのです。
商品券と本質が一緒と考えると、なんとなく「仮想通貨とは別物っぽい」気がしますよね。
電子マネーの価値は企業が担保する
商品券と本質が一緒の電子マネー、この価値は発行(取り扱う)企業が価値を担保しています。
SuicaならJR東日本が、nanacoならセブン&アイホールディングスが、楽天Edyなら楽天と言った具合です(正式にはnanacoは株式会社セブン・カードサービス、楽天Edyは楽天Edy株式会社)。
このような企業の信用が電子マネーを成立させています、仮に誰も聞いたことがないボロアパートにオフィスを構える中小企業が「電子マネーサービスを始めます!」と言っても誰も使わないですよね。
比較的規模が大きな大企業の信用を担保に1円=1円を成立させており、利用者は価値が変動する事を不安視することなく安心して利用ができる訳です。
電子マネーは払い戻し(換金)ができない
そして電子マネーと仮想通貨の徹底的な違いの一つとして挙げられることが「基本的に電子マネーは換金ができない」ということです。
例えばお使いの電子マネーを思い浮かべて欲しいのですが、色んな方法でチャージはできますがチャージした電子マネーを現金に戻すことはできないですよね?
これは銀行法や貸金法が理由で、もし仮にいつでも自由に現金化できてしまうとそれは銀行と同じように利用者からお金を預かっていることになってしまいます。
利用者からお金を預かるという行為は法で厳しく規制されているので電子マネーは基本的に払い戻しができません(ただし例外があり、ごく少額であったり利用者に何らかの事情があって退会の申し出があった場合に限り返金を受け付けている電子マネー事業者もあります)。
電子マネーは送金ができない
電子マネー最大の弱点”だった”のがこの送金ができないこと。
先述したように個人間送金も法で制限されており、基本的に他の口座に残高を移行するということができませんでした。
近年利用者が急上昇しているQRコード決済系サービス、いわゆる”Pay系”と言われるサービスは払い戻しも送金も可能です(サービスによる)
これは急激に価値観が変わったフィンテックサービスを受け、銀行法の改正と資金決済法の新設で可能になりました。
そのためこれらQRコード決済系サービスと電子マネーも全く別のサービスです。
仮想通貨は電子マネーと全く別の通貨そのもの
さて、ここまで主に電子マネーの特徴を見てきましたがいくつか明確な違いがありました。
改めてわかりやすく表にまとめておきます。
仮想通貨 | 電子マネー | |
---|---|---|
価格変動 | する | しない |
価格の担保 | ない | ある |
価値の決め方 | 市場が決める | 企業が決める |
払い戻し | できる | できない |
送金 | できる | できない |
価格変動する
仮想通貨は常に価格変動します、そしてその変動幅は法定通貨(日本円や米ドル、ユーロ等)とは比べ物にならないぐらい大きいです。
参考程度に例えばドル円は2010年~2020年の10年間で75~125円の50円の間で変動しています。
しかしビットコインは2017年に初めて1BTC=10万円を超え年末には一時220万円に迫りましたがその後急落、2019年には一時30万円台まで下がり執筆時現在(2021年3月)はなんと620万円です。
もちろん通貨ペアは日本円だけではありません、米ドル対ビットコインやユーロ対ビットコインのように主要な法定通貨は大体ペアが存在します。
更に仮想通貨対仮想通貨というペアも存在します、例えばbitbankではビットコイン対イーサリアム等のペアで取引が可能です。
価格の担保
電子マネーでは企業が実質的な価値の担保を行っていましたが、仮想通貨は法定通貨のように自由な市場によって価格が変動します。
また、法定通貨は例えば日本円は日本中央銀行(日銀)が発行しているように管理者が存在するため、管理者の政策によって多少価値への介入ができます。
しかし仮想通貨は基本的に非中央集権、管理者が存在しないため基本的に価格を一個人や団体が操作することは難しいです(ただしとても影響力があるインフルエンサーが言及することで価格変動が起こることは度々あります)。
価値の決め方
先述したように価値は市場が決めます。
市場は各仮想通貨取引所によって運営されていますが、金融庁の許可を得た日本国内の仮想通貨交換業者だけではなく世界中に存在します。
払い戻し
仮想通貨はいつでも自由に日本円に戻して出金することが可能です。
ただし仮想通貨の売買は外国証拠金取引(FX)と同じように「損益を確定する」とみなされるので、大きな利益を得た場合は所得に応じた所得税や住民税の等の支払いが必要になり、基本的に確定申告が必要になります。
送金
仮想通貨は電子マネーと違い個人間の送金が行えます。
基本的な考え方は銀行振込と同じです、相手の口座番号(仮想通貨では自分専用の口座アドレス)を聞き送金するだけ。
基本的に24時間いつでも送受金可能なので、銀行のように土日だから振り込みは週明けになるなんてこともありません。
仮想通貨と電子マネーって何が違うの?初心者にわかりやすく解説 まとめ
仮想通貨と電子マネーの違いについて解説しました。
こうやって見ると仮想通貨と電子マネーは全くの別物ということがよく分かると思います。
実質商品券や図書カードと変わらない電子マネーは価格変動の心配が無いので安心という気もしますが、日本円に戻したり個人間送金ができないという欠点があります。
仮想通貨はそれらの欠点はありませんが、価値が一定ではないので価格変動リスクを負うことになります。
しかしこれは僕らが生きていく上で使っている日本円と一緒です。
正しく仕組みを理解して仮想通貨に触れて頂ければ嬉しいです!